ぼくたちの足元は回っているのだ/天野茂典
 
  京都 大原 三千院
  雪がふっていた
  降り積もっていった
  車はチェーンを履いていなかった
  
  三千院で炬燵に当たりながら
  湯豆腐を食べた
  みやびな気持ちになった
  新しい二眼レフカメラで風景を撮った

  ー絵葉書(ポストカード)は美しい
  絵葉書のように写真が撮りたい
  逆説的にではなく カラー写真がほしかった
  風景とは何か 地球とは

  大原にも行った 尼僧の寺だ
  日本の叙事詩平家物語 ゆかりの人だ
  雪がふっていた
  秒針だけが妙に気になった

  チ チ チ チ チ チ
  ぼくたちの足元は回っているのだ
  自転している 京都 大原 三千院
  なんだか目が回ってきた 気絶したぼくは

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