サイダー/アンテ
う
母親も笑っている
恐る恐るつかみ取ったビンは
ひんやりと冷たくて
浴衣の肩を抱き寄せられたことに
しばらく気づかなかった
サイダー飲みたいな
自分の声にびっくりして
となりを見る
これは
どっちの夏なのだろう
笑ったあなたの手が
ひょい と
屋台の氷水から
ビンをふたつ取り出す
もう大人だって
言ってもいいかな
透明なビンのなかで
炭酸がはじける
花火の音が
突然はじけて
歓声が上がる
またひとつ
夏が終わる
「Poison」 #2
inspired by ぽわん 「サイダーの泡、恋模様」
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