「冷えていく鉄」他6作/クローバー
 
「冷えていく鉄」
鉄だとわかっている
何度目かの純情だから
素直に信じる
 うん、わかっている
 その熱では溶けてしまう事もない
背中が曲がる前の、愛しているは、信じない
少女の熱は放射して
 あなたに伝導した
逃げたいって、クリームを塗る
錆びないために、表面ばかり眠たい。
「ショパンを聞きながら」
この牛舎の牛たちはショパンを聞きながら過ごす
 この牛たちを腹におさめる人間もショパンを聞きながら過ごす
 ショパンを消化しながらショパンを脳に刻む
人々はみなショパンになりショパンでないものはベートーベンだった
耳が不自由という意味ではな
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