巨大な比喩/左屋百色
私は詩を書いているのではありません。あなたが読むまで詩ではないのです。風が吹いた。花が揺れた。
そんなことは詩ではないのです。あなたが読んだものだけが詩なのです。詩は日常にありません。日常に詩があるのです。地球より先に生まれた詩があるのです。永遠に誰も詩は書けないのです。詩人など存在しません。詩人ではない人も存在しません。詩だけがあるのです。あなたの詩など存在しません。詩があなたを書いたのです。陽が暮れた。雨が降った。詩はどこにもありません。どこにでも詩はあります。あなたは今まで詩を書いてはいないのです。
読んでもいないのです。夕方5時から6時頃に巨大な比喩に飲み込まれ詩を書いた気がしているの
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