花が飾られた隣の席/這 いずる
 
興味なさそうな目
僕もたいして彼女を気にしなかった

でも
彼女
死んで

ふと
思う

葬式に行った帰り道

僕が話しかければ
彼女
死ななかったかもと
屋上からジャンプしなかったかもと

彼女
下の名前も知らない彼女
ちょっとのことで変わっていたかも、と

葬式の帰り道
そんな考えに囚われていた
夕陽がきつく目に刺さる
それも彼女はもう体験しないのだと
そう思った





お題:隣の席
戻る   Point(3)