風の歌/藤原絵理子
夕暮れの都会は ブルーに沈む
ビル街は華やかに さざめき始める
イルミネーションに飾られた 水の中を
お洒落した熱帯魚が行き交う 笑い声と
ビル街の吐き出す熱気が 淀んでこもる
取り残された公園は 荒れ果てた廃墟に
時計仕掛けの物乞いが 発条を巻いている
侘しい音は草むらの中へ 裸のバービー人形に
一日の終わりに 胸を撫で下ろして
新しい風が吹くのを 待っているだけ
タッチパネルを擦って 果てしない暇つぶしを
列車の来なくなった 貨物駅で
消し忘れられた 蛍光灯は悲しい
ありふれた朝の 光の洪水に埋もれる
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