「すみれいろそら、あかねいろそら」 2015.05.16 (一二首)/もっぷ
「私」として生きてて背負うかなしさをたとえる形容詞がみつからない
生きることに疲れて橋に向かいつつ靴は脱げないことは知ってた
春の暮れもしくは初夏への道すがら黒い縁取り一通拾う
世間から浮いてるわたしの人生の鍵はあの日に海に帰した
母さんの歌を普通の子のように健気に詠める日日とわになし
あした朝ふり返ったら生きた日の地図が違ってることを信じて
日記には「今日は母から荷が届く」一度も書かずにわたしは終わる
夕空は今日一日の幕でありおさない日日のすべてでもあり
早朝に太陽と競い合うように生まれたわたしの顔真っ赤っか
その季節すみれ眼差し陽の昇るお誕生日は一つきりの日
父さんと母さんの揃う食卓でわたしは赤毛のアンじゃなかった
朝焼けに祝福されて生まれた子もうもどれない残照に立つ
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