名をつけたがる/
千波 一也
一度きりの
ときとして、つかの間の
或いは
やがての日々の懐古となる
すべての複雑な
シンプルさに
ひとは
名をつけたがる
かなしみだとか
裏切りだとか
やさしさだとか
儚さだとか
単純なものたちに覆いをかけようとする
言葉たちは、実は
平易なようでいて
むずかしい多層構造をもつから
ひとは
名をつけようとして
さまよい続ける
出会いのたびに
別れのたびに
痛みのたびに
癒しのたびに
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