あなたが明日も日本語を読めますように/竹森
まわしい歴史、
マルテが優雅な物腰でティーカップに触れる、
その手つきが、誰かに何かの合図を意味して、合図としての、
ウェイターとの、密会の約束、そして、破棄、
ティーカップに、触れて、離して、そして、戯曲のペンを取る、
それは、何かの合図を意味しない、
ので、一本の脚をひきずって、畑には、
牛乳を撒きに行く、独り身の農夫、
ティーカップが、卓上に敷く、青く、淡い影、
(爪が、ピンクの、花びら、となり、
(風に、剥がされ、舞い散って、いった、
(指先の、その、先へ、と、
(ああ、それは、
(優しい自殺の、はじまり、だったのでした。
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