月のうさぎ/
這 いずる
うさぎが消えた
金色の爛々と光る目を背け
月から
二度と帰ることはない旅に出た
宇宙の光のひとつとなった
月にミサイルが落ちたとき
それからうさぎはいなくなった
地球の醜さにもう飽き飽きして
姿をくらました
うさぎは泣いているだろう
住処をなくした悲しみに
旅立つ先のない身のあやうさに
我が身を忘れた人間に
さみしいさみしいと涙が流れ
地球に降りかかる流星
ひとつ 少女が指さす
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