盲目ピエロ/為平 澪
演です。今日も私の、コウ、フコウ、
(寄ってらっしゃい、見てらっしゃい、
(実は私が本物の、主役ですから、主役ですから、、
盲目ピエロは上機嫌
魔法が解けないシンデレラ気取りで
白雪姫のドウラン塗った魔女のカタチで
刷り込まれた台詞を並べ続けて 胸をコトバでうめつくす
けれど、
歩いてきた道に街灯が灯る度 浮かぶ自分の影の中心を
見つけられて踏みつけられると また動けなくて泣いたりもする
薄汚れたスニーカーの靴紐を
何度も結びなおしてくれた父の手が
黄ばんで黒く垂れ下がる部屋で 向き合うひとことの愛情
(おまえは、娘か、ピエロか、死神か、、、
私に化けたピエロを 呆けた目で見破った人
川の字の、真ん中にいた「わたし」だけが 流れていった
家族の行く先など私には見えなくて
ミスキャストの謝罪文が届くころには
家が一つ たそがれに 燃やされる
戻る 編 削 Point(8)