音楽/葉leaf
 



音楽は風景である
あるいは夢であり映像である
メロディーに従って稜線は描かれ
和音に従って街並みは形成される
音楽が鳴りはじめれば何もかも存在をはじめ
音楽が鳴りやめば何もかも存在をやめる
だから音楽はいつまでも鳴りやむことがない

音楽はごつごつした岩
あるいはさらさらした布
全て我々は盲目だけれども
音楽の手触りによって外界を知ることができる
どこまでも反響していき
どこまでも収斂していく音楽は
我々の肌を様々に刺激する
我々は音楽の手触りに基づいて道を選び
音楽の手触りに基づいて山を登る

音楽は新しくも古くもない
根源的に閃く生命の衝動が音楽であり
創造にも破壊にも先立つ神以前の秩序である
全ての曲はこの生命の衝動の変奏にすぎず
リズムと色彩は始まることも終わることもない
光も言葉も神も何もかも
音楽という生命の衝動により生み出された
悲しい草笛の音に過ぎない

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