人のためにと/
奥畑 梨奈枝
朝目覚めても
コーヒーが飲めない日に
貯金箱を壊して
小銭を数える
1円玉の散らばる布団の上で
とうとう俺は自分のために
何もできず
何もできずに寝転がる
自分のためにということが
とても良いこととは思えず
人のためにと
人のためにと考えるたび
俺の身体は透けてゆく
朝目覚めても
コーヒーも買えない日
貯金箱も壊せず
何もできず
俺は裸で寝転がる
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