学生時代の友達と/番田 
 
私と彼の趣味はかぶらないのだが
なぜ今でも会うのだろう
そんなことを暗闇の中で考えていた
しかし口に出しても 仕方のないことだ
今では昔のようにわかりあえる部分も少ない
いくら気があっても
年収や趣味の傾向が
やはり違うと 離れていく
彼は今でも同じ職場で働いているという
そして何か言わなければならないことがあったが
どうせ忘れてしまうことだから
私にはそんなことはどうでもよかった
来年も同じようにカラオケに行って
来年も何年かぶりの学生時代の友達に会って
代々木公園をぼんやり歩くのだろう
桜は散っていて
立ち止まるわけでもなく
肌寒い風の吹く道を通り過ぎた
今でも彼女もなく
こうして同じ境遇の友達といるわけだが
それから カラオケに入った 私たちは
二時間後 カラオケを出て それぞれの道へ 歩いた
私たちは昔と同じ曲をずっと歌っていた

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