アラウンド/itukamitaniji
 
アラウンド

舞い散った桜の花びらは
行き交う人込みの足元に降り積もって
ぐちゃぐちゃに踏んづけられて
きっとその内忘れ去られるんだろう
いつかの四月に嘘をついた
大馬鹿者は無理だと笑われ続けて
今じゃ誰も覚えていないのに
平気な顔してまた同じことを言い続ける

ようやく果てにたどり着き
そこで死んでしまうつもりだった
冒険者は失望した
ある時ついに知ってしまったんだよ
この世界は真ん丸で
どこまで行っても果てなどないことを
この場所はいつだって
途中の風景にしか過ぎないことを

日々は進んでいるんじゃなくて
きっと巡っているものなんだろう
同じ風の匂い
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