疲労/葉leaf
疲労が隕石のように落ちてきて
僕に直撃したのちそそくさと立ち去り
僕はつぶれてのっぺり薄く延びていきました
僕はどこまでも延びていき
地球を丸々覆うシートになりました
脱力し弛緩しているけれど
とても強靭で絶対に破れないシート
雨が降り受け止めました
草が生え優しく包みました
疲労した僕は大地と接することで
地球の皮膚として膨大な刺激を感じ取りました
海が波立ち日光は移ろい
全てにさらされたのち
僕は山からも都市からも複雑さと混乱を吸い上げ
再び一個の錯雑した人間へと凝縮しました
僕は複雑であることにいつも疲れています
だからときたま人間をやめて単純になって
複雑さを捨ててただ地球の複雑さを受け止めるだけにする
シートとして地球を覆っている時間に
文明は二つくらい興亡しますし
地球も地軸を傾けますが
再び人間になるということは
疲労の官能から健康の地獄へと
元気であるという錯綜した概念の地獄へと
昇天していくことであります
戻る 編 削 Point(1)