三月の最後に/這 いずる
陽射しの暖かさを受け
心の冬が溶けていく
三月、冬と春の間
その月を一喜一憂し
過ごした時をまた来年も繰り返すのだろうが
しかし
この三月は二度と戻らない
感傷的になり
冬に別れを告げようとして
公園まで来た
そこには冬の気配などどこにもなく
桜は咲き、鶯は鳴き
冷たさの名残は一掃されていて
別れをいうのも遅すぎる春
春、新緑と眩しい陽射し
その陽射しを目にし
ベンチに座る
ヒヤリとした冷たさ
そこにやっと名残を見つけ
冬との別れとした
お題:3月の最後
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