証明写真受理/初谷むい
馬鹿っぽく笑う。それでよいのだね。ひざにおおきなあざがある、なおるやつ。
ぜったいなおるやつだとおもう、でも夜中とかにそこがしくしく痛むと、
ああ、あざ。おまえはわたしを否定するさいごの砦、とかおもってうれしいような
さみしいような気でそこをぐいぐい押して後悔してしまう。いんうつ〜な
わたしがいやです。ともだちが、証明写真撮ったって、みせてくれました。
へたくそなの。上向き過ぎてて、はだがきれいで、鼻の穴がどーんてみえちゃってて。
目の焦点なんかまったくあってないのに、ほんとにしぬほどかわいかった。
(しぬほど、なんてもういいたくないのに、いちにちにたくさんいっちゃう。)
きみをすき、とおもうきもち、わたしが持ちうる中ですごくかわいくてきれいな部類
のきもち、それが証明写真とか、わたしのかおとかにでたなら、どんなにいいか
とおもう。むりむり、わかってるよ。きみのがぞうを三回くらい保存してから、
あざをあたためるようにかかえて、いちにちが終了します。ばいばい。おやすみ
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