こわいろ/衣 ミコ
機械に認識されない
音を掻き集めて
波打ち際で放したら
いつか何処かの
誰かに届くかな
潮風に揺れるウェルウィッチア
砂漠に朝露の雫が落ちる
遠くのあなたが
その音の階段を上り下りする
靴声を追いかけて
辿り着いた場所で
無尽のせいめいを
明け渡したい
微睡みの中に差し込む光
渇いた唇を結んで
喉を鳴らす音を
拾う耳が悦んでいる
沢山のささやかな音を並べた
楽譜の上で目覚める
はるの午後
聞いたことのない声色ばかりが
頭の中で
リフレインしている
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