太陽の椅子/草野大悟2
天照大神のころから決まっている。
だれもがクジラを愛してるのと
おなじ意味で。
あまの岩戸のうちがわには
おおくの光がみちていた はずだ し
そとで
絶望的な饗宴をくりひろげる者たちにも
そんなことは
じゅうぶんすぎるほど
わかっていた はずだ。
体だけ が
筋肉だけ で
岩を押し広げるお節介を施したとき
崩壊したものを
クジラは知っている。
奴は その意味すら理解できない程度の
頭脳の持ち主で
みんなから
いつも
力 だけ を
重宝されて
嘲笑されていたことを。
そのとき
とつぜん消えてしまった
太陽の座る椅子を探して
力は 今日も
かれの青空を削りつづける。
戻る 編 削 Point(3)