理由/オダカズヒコ
女をパジャマに着替えさせてベットへ運んだ。
午後9時頃。
バルコニーの観葉植物を取り込むとき、女にパンツを穿かせるのを忘れていたことに気付く。
テレビの電源を入れる。
煙草に火をつける。
「結局、いろいろあった」日記帳にしているノートに殴り書きすると、電気を消した。
女はイビキをかいた。
テレビの明かりが目にチクチクする。
女は無口だった。
それから一週間、女は家に泊まったが口を利いたのは数回。それから唐突にぼくの部屋から消えた。
思いだせないことがある。
女の名前だ。
思いだしたことがある。
1月8日。彼女の誕生日だ。
わからないことがある。
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