視る/大覚アキラ
 
片目で世界を視る

  右

  左

それぞれひとつずつ

似ているけれど
どこか違う世界
それらを混ぜ合わせて
適当に妥協させた世界に
私たちは生きている

私の目の前にいるあなたは
右目で視たあなた
でもなく
左目で視たあなた
でもなく
それらを混ぜ合わせて
適当に妥協させて造り出した
あなたの虚像

きっと
あなたの目の前にも
あなたの右目と左目の世界を
適当に妥協させて造り出した
私の虚像が立ち尽くしていて
ほんとうの私とはかけ離れたものとして
あなたの中に投影されているのだろう

そもそも
視る
ということは
視える
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