わかりやすい詩/
高濱
氏名記入欄にしか、保障されないのであるからには。
死に到る程に、
なにものかを美しいと形容することは、代償を必要とするものだ。
口にのぼらせてはいけない感情、それこそが流麗な柩。
私は私自身の血を飲むことでしか、
ひと時でさえも血の通った詩を繋ぎとめておくことができない。
例えこの夜が灼け落ちても、
その向うには運命では語りおおせないような真実の虚脱があり、
私はそれを眺めるためにやってきたのさ。
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