病?/白砂一樹
 
氷の光 瞬く 水銀燈が凍っている 凍てつく波動がそうさせたのか?
通常の認識過程ではない それを私が知らないにしてもそれはそうなのだ 「暗闇坂」はもう暗くはないにしても そうなのだ

氷塊の光輝 輝く 瓦斯燈が叫んでいる 難破人の叫喚がそうさせたのか?
尋常の理ではない それを私が知悉していないにしてもそれはそうなのだ 「非望風」が吹き荒れているからそうなのだ

沈黙の時を迎えた 送迎バスはもう来ない 俺は「バスに乗り遅れ」た
だから俺は夢の階段を昇ってゆこうとする それが俺を死滅させるかも知れぬとしてもだ

外套の衿を立てることもなく 街頭を俺は彷徨う もうふらふらになってしま
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