狂おしく嘘をつく/もっぷ
 
てに 鮮やかに
/あなたもそうですか、偽りのなく
あなたはどうですか、偽りのなく/
「ぼくを光りのなかで呼んでくれませんか」
「差し支えがなければ」(ほがらかに)
「固有名詞で呼んではいただけませんか」
/会話は必然なのに/「ぼく」と
「きみ」との間に/存在の起源にこそ
遡りながら(何もかもが滲む)

春に向かって、遠くのそこへぼくは
提案する「地図を焼べましょう」
(無難なシナリオ/一度きりのチャンス)
あなたは黙してほほ笑みながら
手招きしながら/

(足跡も枝折りもすべて手放したなら)

「唯一」はとても迷っている/
迷いながらも 狂おしく嘘をつく
「ちいさな畑を持っているんです!」

…ゆるされたくはなかった、
一人称が泣いている。


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