異動/葉leaf
き飛ばした。何の武器も持たず荒野でひた走る私を、幾つもの武器を持ちより速く走るあなたが黙って防護してくれていた。私は感謝のためにあなたに何かを贈りたい、だが贈ろうと思うもの全てをあなたは既に持ち合わせている。
私もあなたもさよならは言わない。そんなあいさつは嘘だから。さよならはどこか言い訳のようだし、傷つかないための努力のようだ。そんなに簡単に結論を出していいものでもないし、実際私とあなたは別れるわけでもない。あなたはあくまで上司であるが、前例のない仕事において私に教えることで私により形成され、また言うまでもなく、私はあなたに教えられることであなたに形成された。共に仕事をすることは共に構成し合い、共に混じり合うことである。もはや私もあなたも別れることはできず、さよならは全くの嘘だから言わない。
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