空虚の虜/
這 いずる
乾いた声をしぼりだした
がらんどうな私だから
笑い声が響いて痛くて
お願いテレビを消してと頼んだのに
光る画面はついたまま
抱きしめられて身動きができない
楽しそうに笑い楽しそうにみんな会話してる
これは全て選ばれた場面で承認の塊だ
ああなんて苦しいのだろう
私は選ばれないで
私は楽しくなくて
私はここで眺めている
苦しいと身じろいだ
もうちょっと、と引き寄せられた
画面は光っている
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