詩 二篇/月形半分子
 
送別会と反省会と忘年会


自分の名前を忘れてしまったと桜がつぶやく夜
街灯のしたを風が低く吹き抜けていく
落とし物のように。
花を忘れてしまったとつぶやいている女が
そこにたっていた。
星がまたたくのは、なぜだろう。
星なんて暖かかったことなんていちどもない
なのに、星の王子様がいそうなのは、なぜ。

(おめでとう
主役になれないことが素敵な夜)
女の低いつぶやきが風にちぎれていく。

性善説を唱える街の灯
無口になった時計
ワインは革命前夜を恋しがるが
ニュースはもう花束にも、聖火にもなれない 

わたしが会を重ね
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