春始発/もっぷ
 
陽光の鼓動が
雲の隙間から聴こえる

  生きているんですね

春の一日にたずねる

ゆるく描かれるこころ模様が
あちらこちらで会釈しあっている

  善き日ですね
  ええ、まったく本当に
  
薄桃色の しあわせ行きが定員一杯になったので
発つことにしたようだ
切符を持っていなかった人々の

かなしみを 置き去りに
それでも 惜別の情を懐いている真似をして

  生きているんですね

善き日に向かって
列車が言い遺した


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