菜虫化蝶/nonya
菜虫化蝶
なむしちょうとなる
不思議な夢を見た
とある晴れた休日
ソファーの上で腹這いになって
私は時代小説を読んでいた
時刻はたぶん八つの頃
カーテンから漏れた
春の日差しに温められたせいか
背中が無性に痒かった
手を回してポリポリやっているうちに
ふうわりと意識が遠のいた
気がついた時には
私は何故かソファーに腰かけて
いや
腰かけているにしては景色が違う
何気なく視線を落とすと
私はもうひとりの私の上に腰かけて
いや
腰かけているのではない
無粋ないびきをかいて寝入っている
もうひとりの私のぱっくり割れた背中から
私の身
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