歌声はかすれて(九)/信天翁
 
   高い虚空が深呼吸するなか
    近くで鴉がわめいている
  広い大地が共鳴しているなか
   遠くで街宣車が叫んでいる
それなのに 無聊に甘えながらも
   「時」の深さを知りたくて
   「空」の高さを掴みたくて
   窓辺の日向で息をひそめる
   卒寿となったおひとりさま
    「風」の櫂「光」の舵に
  生かされているのも知らずに
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