宴のあと/葉leaf
 



僅かに酒の残った盃が
幾つもの角度から照射されている
すべての目は正午に向かって閉じられ
盃のひびは厳重に黙秘された
この盃にはかつて
動物が開花していた
この盃にはかつて
植物が遠吠えしていた
注がれたものたちの本質が
どこまでも破壊されたのちに
僅かに酒が残ったのだった
この残された酒に
溶かしこまれている人生の落ち葉
開眼は朝早くに錯乱し
成長は昼遅くに混雑する
一面に散らばる静寂に囲まれて
迷い犬はひとり呟く
宴は光の速さで遠のいていく
そして
到来した巨大な影はもはや
宴の囃子をかたどり始めた

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