術後/草野大悟2
 
という宮崎市在住の五十五歳の主婦である。
 警察官をしている夫と一緒に受けた脳ドックで髄膜腫が見つかり、紹介状とMRIフィルム持参で、ふたり連れ添って宮崎学院大学病院を訪れた。
 初診にあたった脳神経外科倉田悟教授は、MRI画像の髄膜腫の大きさを見て、入院して精密検査を受けた後手術を受けることを勧めた。
「あのう、先生、そんなことはないと思うんですけど……、手術が失敗するという確率はどれくらいなんですか?」おずおずと訊ねる陽子に、「ご心配なく。一パーセント未満です。まあ、全国から私の所に手術依頼がたくさんきているので、手術は少し先になりますが」小肥りの体を反らせて倉田が答えた。
 倉田は、
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