夕陽の沈む向こう側/オダカズヒコ
賭け(人生)に負けたやつだけが知っている
俺は町の灯りを見上げた
煙草の煙が
因縁に変わる
逃れられやしない宿業
道頓堀に雨が降る
赤い傘のカップルを
黒塗りの個人タクシーが
次々と落としていく
まるで戦場の
最前線に落とされていく落下傘部隊のように
欲望の町
何万人という人間が
突き落とされただろうその場所に
お前もまたポケットに
ちっぽけな(ふくらみ)思い出さえ持たずに
「行ってくる」と言った朝に帰れないでいるのさ
世界中の時間は少しずつ狂い
やがてパリと東京の時計は子午線の上で衝突するだろう
俺たちは昔のまんま無名で
ひとりの女と人生を
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