渡る世間はクマばかり /オダカズヒコ
ているぼくの兄は村上春樹みたいに言った。彼女の誕生日プレゼントにアルパカのハーフコートを伊勢丹で買い。ついでの帰りに兄の家に寄った。兄はお菓子に使用される米の原産地表示が義務付け化される話やミニマムアクセス米の話をした。
「彼女のこと好きか?」
「ああ、とっても」
「これからもか?」
「ああ、一生ね」
それから一人の女を一生愛し続けることの困難さについて兄貴は語り始めた。
ヘンドリックが冷蔵庫を覗き込んで「何もないけどどうすればいい?」と首だけこっちへ向けて、お尻を突き出して言っている。どうやら買い物へ行きたいらしい。これだけ済んだら行くよ。
へっ?
買い物だよ。
お前の顔を
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