変色カメレオン/這 いずる
乳白色に明るい空を見て
あの時はまだ青だったと言った
その背中はしっかり曲がっている
髪も目も灰色に染まっていて
天まで届けと願ったブランコ
この足の先さえ青にかかれば
跳んで跳ねてゆけると思った
幼いがゆえの愚かさ
群青色に染まる街並み
ゆっくりと暗色に沈んでいき
黒に見えなくなる
その瞬間をきっと切り取っても
取っておけずになくなってしまう透明
誰もが同じざわめきを通り
誰もが同じ感傷に浸った
それを馬鹿にするものも数人いて
毎年繰り返される輪廻のような
あの桜と快晴は私の表面を撫でていき
思い出の一つになった
しかし
どうやって確かにあったと言えるのだろう
あの頃は幻想に霞んでいて
見通せない白色
同じ服を脱ぎ捨てて色々に着替えていった
年月はその色を抜き去ってしまって
残り滓はうちやられ
灰になってしまった
灰になってしまった
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