青いクジラ/オダカズヒコ
 


あれは確か
8月の日の最後の日曜日のこと
海辺に打ち上がった
クジラの噂で
町中が持ちきりになった

青いクジラは
夏の太陽の光を反射し
焼けてグッタリと
眠っていた

ぼくらはまだ小学生で
親に買ってもらったばかりの
新品の自転車の後ろに
メイちゃんを乗せて
浜に急いでいた

彼女はぼくの背中にぎゅっとつかまり
固く目を瞑っていた

クジラ
見たいだろ?

メイちゃんは
大きく頭を揺らし
恐いと言った
ぼくは彼女と一緒に
クジラを見たかった

恐くなんか
ないさ
浜にでっかいクジラが
打ち上がったんだ
こーんなに
大っき
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