ヘンドリックの最後/オダカズヒコ
肉屋の軒先で 雨宿りしながら
ぼくはグラム398円の値のついた
ショーケースの中の
肉の切れ端を見ていた
タバコに火をつけた
ヘンドリックが
食肉になって
世の中に貢献したいといったとき
ぼくは反対しなかった
食肉処理場に
向かう車の中
不安そうに
身を屈めながら
彼はこう言った
「最後のタバコを一本くれないか?」
ぼくは上着のポケットの中のマルボロを引っつかむと
彼に手渡した
するとヘンドリックは
立て続けに3本のタバコに
火をつけた
「おい、体に悪いぞ」
「バカ言え・・」
ヘンドリックは
3本目の
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)