いまさらの都合/もっぷ
 
解体された桜花が一方向に流れてゆく
姿だと悟ったのは間近にしたからだった
視覚はいつでも偽られ偽ることを好む
ゆうべの青いかがやきはちっとも
かがやいてはいなかった
明けて、暴かれた結果論たちは
産み落とされた瞬間に息することを拒み
墓標を求めて彷徨いはじめる
好まれる夢からありのままへと転移して
視える諸々が口々にそれは太陽が、と
咆哮し嗚咽し裏の竹藪に潮騒を呼ぶために
風への真摯な祈りを捧げ、わたしは理を得て
目覚めることを選択肢のなかに加える
だがいまだ留まろうかと囁く声を
他者に任せて葉擦れの音に誓いを立てて
そしていまがある、と告白する
わたしは「私」とは
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