編み物にまつわるあれこれ/そらの珊瑚
で経っても傍観者(というか敗北者?)としての感想でしかないのだが。
不器用な私は、結局マフラーの一本も完成させないまま、冬は過ぎた。
それを贈られなかった人にとっては、まったく幸運以外のなにものでもなかっただろう。手作りというものは、なんにせよ捨てるのがきっとはばかれる種類のものだから。
セーターにふゆの嵐を編み込んで君はひとりの夜を耐へてをり(笹井宏之)
結句の「夜」を最初、「よる」と読んだら、おさまりが悪かった。それならば、「て」を取って「耐えをり」にすればいいのでは? と不遜な事を考える。しかしそうすると、現在進行形という景色が失われてしまう気がする。そ
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