編み物にまつわるあれこれ/そらの珊瑚
 
  いくたびかそのセーターは洗われて等しく縮みつつ仔へ還る

  特別な季節であったのだ少女らは毛糸の虜になって

 編み物をしている時間というものは、傍から見ていればただ退屈な時間であるかもしれないけれど、編み物をしている人にとっては、そこに編み目以外のものまでもを込めながら過ごす静謐な時間という気がする。出来上がったその先には人を温めるものがある、それが自分のためでも、自分以外の誰かのためでも。
 たとえば、病院の待合で、スマホでなくて、編み棒を手にしている女子(この場合、年齢問わず)がいたら、その指先が 繰り出す動きについ見とれてしまう。編み物が出来ない私にとって、それはいつまで経
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