祈りの日/大覚アキラ
たぶん祈りには何の意味もなく
そんなことなど承知の上で
とうに終わった宴のあとを
涙ぐみながら眺めているのです
宴が終わっていることは知っています
でもそれを認めたくはないのです
訪ねていく家もないぼくたちは
羽根を毟り取られた鳥たちが
よたよたと歩いていくその後を
祈りの言葉を呟きながら
俯きながらついていくのです
ふいに銃声に似た破裂音が響き
鳥たちは慣れた様子で物陰に隠れ
ぼくたちは足を縺れさせながら
死に物狂いで電柱の陰に隠れたのですが
それが子供たちが悪戯で鳴らした
癇癪玉の音だと知って
また一段とぼくたちの気持ちは
重く暗いものになっていくのです
祈りなさい
ただ祈りなさい
何も考えずただ祈りなさい
羽根のない鳥たちは
どこへ向かっているのでしょう
ぼくたちにできることは
とうの昔にその意味を忘れてしまった
祈りの言葉を口の中で転がしながら
その後をついていくことだけです
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