夢中/葉leaf
 



夢中になってしまうのは過去の自分との対話。昔の日記帳に綴られたもはや綴ることのない甘い苦しみが、私にその混乱を届けるので、今の私は軽やかに処方箋を手渡す。私の成長は降りかかる災厄に応対する行動リストの充実だったから。私はずっと同一でなかった。瞬間瞬間ごとに別人になり、一瞬前の自分とだって別人として対話できる。瞬間ごとの自己の新生を確かめるために、私は過去の光を現在の新しい方角へとひるがえして反射する。

夢中になってしまうのは、待望のCDの聴きはじめ。未知のCDは私に未知の心臓を調達してくれるから。音楽のリズムと流れに呼応するように、私の心臓は未知の血液を流し始める。未知のものがい
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