はるまち/望月 ゆき
 
ぴんと張った背中を
つむじ風が
らせん状に、なでて
どうしてか
しのび足でわたってゆく
ので
今いる場所がほんとうは
うすい
一枚の氷の上なのだと
冬が深まるごとに、気づく


吸収された世界
きこえてくるのは
静けさの、音
無からいちばん遠い、


( 3オクターブの、振動で )

氷は、やがて
沈んでゆく
沈んでゆく 
わたしの足元
奥深いところ、へ

( 24色の、音を放って  )

そうして、そこに残るもの
ひらかれた朝の光、
つたわる温度、
願いごと、
足あと、


足あとに、咲く
クレパスの



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