船旅のアゲハ/いとう
蛹の時代は終わったと
鱗粉まみれの陽光を謳歌する
ここには花が少ないからと
蜜の代わりに蜂蜜を
葉の代わりに
デッキチェアを
さようなら、また今度、遊びましょう、晴れの日に。
そのうちね、しばらくは、この船も、海の上。
蛹の時代は
とうに終わった
きれいなままで
旅は続くよ
君がいても
いなくなっても
船は海の上
さよならは、出会いの種。そのうちは、拒絶の根。
この船が、岸に着く頃、君はもう、死んでいる。
雨の日のアゲハ
いつでも飛び立てるよう
湿った羽の手入れに余念なく
夢を抱えて
ため息すら娯楽に
戻る 編 削 Point(9)