星のアルペッジオ/オダ カズヒコ
 
太陽が昇っていく
忘れ去られた世界の半分が
影の中に入る夜
ぼくらは
 バケツの中の
 モップの血を拭う
世界の半分は
争いでできているから
新聞は100万丁の拳銃と
200万体の屍体を
毎朝
ぜーんぶ
隠してる
昨日まで
 ドラックストアだった土地に
 マンションが建つ
 ハンマードリルに叩かれて
 アスファルトがめくれる
地球と人間の
境界が
曖昧な
 ままなのだ
 もう
春がやってくると
 テレビが言っている
 テレビって主語は
 なんか
便器に右手を突っ込んで
 チャーリーとか
 フレッドとか
 タカハシとか
 
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