希望/イシダユーリ
 

よだれをとめられないひとだっている

たたきあう肩がないひとだっている

めぐっていかない星だってある



からだじゅうに小さい脳みそが埋め込まれてるみたいで

走りたい走りたい走りたい走りたいこれが

小さい脳みその欲望なのかからだの欲望なのかわからない

泣きながらわたしたちはいつ泣くべきかを勉強しすぎてきたから

ひびわれたような男の歌声に

くずれおちるからだから受けた血に

強すぎる振動に

泣きながら

わたしたちのなにが泣きたがっているのかわからずに



真っ暗な部屋の中で同じようにひかりつづけるテレビから

こども
[次のページ]
戻る   Point(5)