希望/イシダユーリ
よだれをとめられないひとだっている
たたきあう肩がないひとだっている
めぐっていかない星だってある
からだじゅうに小さい脳みそが埋め込まれてるみたいで
走りたい走りたい走りたい走りたいこれが
小さい脳みその欲望なのかからだの欲望なのかわからない
泣きながらわたしたちはいつ泣くべきかを勉強しすぎてきたから
ひびわれたような男の歌声に
くずれおちるからだから受けた血に
強すぎる振動に
泣きながら
わたしたちのなにが泣きたがっているのかわからずに
真っ暗な部屋の中で同じようにひかりつづけるテレビから
こども
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