遠さについて/葉leaf
。人生の終焉や愛無き沙漠という限りなく遠い場所こそが私の原点であって、私は本当はそこで生まれ、今の愛に満ちた人生こそが異郷なのではないか、と。日々安穏に暮らし感性も知性も摩耗していく今の暮らしよりも、常に不条理な衝動に脅かされ、目は血走り口は渇き、感性も知性も病的に鋭かった青春のあの地点、私という人間の本質と自己規定と存在根拠はそこにある。私は故郷から離れてこんなにも遠くに来てしまった、愛に満ちた平凡な人生という限りなく隔絶した異郷へと。この遠さを前にして、すべての哲学は無効である。
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