遠さについて/葉leaf
私はかつて二つの遠さを抱えていた。一つ目は社会的な意味での遠さである。私は職に就くこともなく、難しい国家試験の勉強を数年続けていたが、一向に成績が上がらず、模試や本試験のたびに絶望するのだった。それだけではない。私は世間からの脱落者とみなされ、周りからごくつぶしと呼ばれ、社会的に一切認められることなく、当然自己評価も低かった。私はもはや人生の終焉を感じていた。人生が終わった後の彼岸にいながらにして、その限りない遠い地点で世間の出来事をぼんやり眺めていた。人生が終わったはずなのに、なんで世界はこんなに鮮やかなんだろう、そう思うと悲しくて笑えてきた。
もう一つは実存的な意味での遠さで
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