雨の日/葉leaf
キを焼く。
雨の日に、僕は本を読む。雨の日は本を読むのに適さないけれど、本の活字と雨音はどこか似ている気がして、活字と雨音が響きあうのを心地よく感じ取っているのだ。活字はいつでも降って来るもの。活字はいつでも潤っているもの。そして活字は記憶の水溜りの中に消えていくもの。雨は外に降っている。活字は僕の中に降ってくる。僕は活字が僕の中に降って来て、僕の地面にぶつかって音をたてる音楽のリズムを、エンドレスで聴き続ける。活字は大雨になり小雨になり、やがて静かに虹を映し出す。
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